上出惠悟「静物/Still Life」(大阪)

Filed under: 上出惠悟,個展 — @ 2019年9月8日

大阪Yoshimi Artsで3年ぶり5回目となる上出惠悟の個展が開催されます。

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stilllifeリーフレットト(中井康之/上出惠悟の新作《静物》を見るために)

上出惠悟「静物/Still Life」

2019年9月21日(土)-10月13日(日)
11:00-19:00 (日 -17:00)
月・火休
Yoshimi Arts

■ギャラリートーク
中井康之(国立国際美術館副館長)× 上出惠悟
9月21日(土) 17:00-18:00
無料、要予約
予約先:Yoshimi Arts (ヨシミアーツ) 06-6443-0080 / info@yoshimiarts.com

この度、Yoshimi Artsは2016年以来3年ぶりとなる上出惠悟の個展「静物/Still Life」を開催致します。
上出惠悟は、「幽谷」(2011)、「游谷」(2013)、「硯海の貝」(2014)のYoshimi Artsでの2014年までの個展や、2013年の「楽園創造(パラダイス)-芸術と日常の新地平- vol.3 上出惠悟」(gallery αM)では、自身の出自である九谷焼に纏わるものを俯瞰的に捉え、東洋で始まった磁器の歴史を舞台にしながら、神話的とも言える手法で磁器が持つ時間と場所について考えました。
その後、「山の熊か、熊の山か」(2015 松坂屋名古屋店 美術画廊)、「熊居樹孔」(2016 Yoshimi Arts)、「わすればなん」(2017 東京日本橋髙島屋 美術画廊X)、「磁彫展」(2018 横浜髙島屋 美術画廊・2019 松坂屋名古屋店 美術画廊)といった4年間の個展を通して、自身が置かれている環境や想いを熊と重ね合わせ、また東京藝術大学の卒展以来作り続けて来た甘蕉を突き放し、そして彫刻という上出が幼少期に学んだ手法で磁器という素材を用いることで、ひたすらに自身と向き合い、記憶という心の深い部分に触れようと試みました。
今回の個展は今年の6月に、「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム)出品の為に制作した新作を再構成して展示致します。大学で絵画を専攻した上出は西洋絵画の一ジャンルである「静物画」に改めて関心を持ち、家業である上出長右衛門窯が作り続けている器をモチーフにしながら、全く新しい作品を陶芸展で発表しました。上出が描く「静物」を是非会場でご高覧ください。

「my旅切手レターブック(金沢)」

Filed under: 上出惠悟,作品出展 — @ 2019年9月4日

上出惠悟が作画を担当した切手とポストカードや便箋、封筒などがセットになったレターブックが全国の主要な郵便局(その他の郵便局ではお取り寄せ、またはオンラインショップ)にて発売になりました。

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金沢をテーマにした「my旅切手レターブック(金沢)」の作画は、実際に九谷焼として描いた絵柄を撮影して印刷に落とし込んで作られていますので、コレクションとしてもお楽しみ頂ける内容となっています。
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「My 旅切手レターブック(金沢)」

・特殊切手「My旅切手レターブック(金沢)専用シート」1シート(63円×4枚、84円×4枚、120円×2枚)【シール式】)
・金沢の伝統工芸・観光地・食や、手紙の楽しみ方などを紹介するページ(13ページ)
・切り離して使える便せん 8枚(4種類×各2枚)
・切手、封筒などを封入するポケット
・封筒 4枚(2種類×各2枚)
・ポストカード 4枚(2種類×各2枚)
・梅型カード 2枚(2種類×各1枚)

作画:上出惠悟(上出長右衛門窯)
切手デザイン:楠田祐士(切手デザイナー)
制作協力:スターツ出版株式会社

https://yu-bin.jp/kitte/0153/

「SWITCH/サカナクション山口一郎氏との鼎談」

Filed under: お知らせ,パブリシティ,上出惠悟 — @ 2019年6月5日

5月20日発売の雑誌『SWITCH』2019年6月号に、「サカナクション」山口一郎氏、「EN TEA」丸若裕俊氏と上出惠悟が鼎談させていただきました。

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是非お手にとってご覧ください。

「第 14 回パラミタ陶芸大賞展」(三重)

Filed under: お知らせ,上出惠悟 — @ 2019年5月28日

毎年パラミタミュージアムで開催されています「パラミタ陶芸大賞展」に、 上出惠悟がノミネートされ、出展させて頂くことになりました。
上出は家業と向き合いながら自身が学んだ絵画について思考した新作を、本展 の為に制作致しました。展示は上出長右衛門窯を日頃ご愛顧頂いています皆様 にも楽しめる内容になると思います。
パラミタ陶芸大賞はご来場者による投票で選考されます。投票期間は7月 7 日 までとなっていますのでお近くの方は是非ご来場下さいませ。

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「静物Ⅰ – XⅢ」
西洋絵画の一ジャンルである「静物画」という日本語は、ドイツ語のStilleben(静かな生命)、英語のStill lifeなどの訳語と考えられているが、フランス語ではNature morte(死んだ自然)という。私は自身の家族が作り続けた器の姿だけを写し、外に広がる周縁とその撞着について画きたいと考えた。上出惠悟

 

岡田文化財団設立 40 周年記念「第 14 回パラミタ陶芸大賞展」

2019年6月1日(土)~7月28日(日) ※会期中無休 投票期間: 2019年6月1日(土)~7月7日(日)

公益財団法人岡田文化財団
三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町 21-6
Tel.059-391-1088

出品作家(五十音順)
井口大輔(IGUCHI Daisuke)(栃木県)
加藤智也(KATOU Tomonari)(岐阜県)
上出惠悟(KAMIDE Keigo)(石川県)
高橋奈己(TAKAHASHI Nami)(東京都)
松永圭太(Matsunaga keita)(岐阜県)
柳井友一(YANAI Yuichi)(石川県)

「辻占/長池製菓」(石川)

Filed under: お知らせ,デザイン,上出惠悟 — @ 2019年1月1日

上出惠悟がTONE inc.と共に「辻占」のパッケージデザインを担当させて頂きました。(有)長池製菓が製造販売する石川県の郷土菓子「辻占」。辻占は年に一度、お正月にだけ食べられるお菓子で、開くと中に占い(のような言葉)が書いた紙が入っており、一説にはフォーチュンクッキーの元になったとも言われているそうです。石川県では「新年には欠かすことのできない郷土文化」のひとつで、長年辻占を作っていた製造元が高齢のため、(有)長池製菓の社長が「辻占をなくしてはならない」という思いの元、製造販売を引き継ぐことになりました。

辻占自体の彩りある可憐さをそのままお楽しみ頂けるよう半透明なパッケージに、辻占を模した最小限のデザインで商品名とコピーを入れています。かつて辻(十字路)や橋は未知の霊魂が去来する境界と信じられており、辻に立ちつげ櫛(=お告げ)を持って、道祖神に念じた占いが辻占の原型となっていることから、裏には小さくつげ櫛と道祖神を描いています。

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CD/Nobuaki Nakabayashi
AD/Keigo Kamide、Sumie Yasumoto
D/Keigo Kamide、Sumie Yasumoto
C/Keigo Kamide、Sumie Yasumoto
I/Keigo Kamide
CL/長池製菓

「KUTANI CONNEXION」(東京)

Filed under: KUTANI CONNEXION,上出惠悟,個展 — @ 2018年9月8日

今回で7回目となるKUTANI CONNEXIONが開催されます。
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北陸、石川の地で明治12 年に創業した九谷焼の窯元「上出⻑右衛門窯」は、来年創業140 年の節目を迎えます。いつの時代にも古びることなく瑞々しくありたいと、同窯の六代目にあたる上出惠悟は伝統に固執し過ぎない自由な表現を続けています。上出が近年力を注いでいるのは、オリジナリティあふれる新しい絵柄や、造形の創作です。招猫やお雛さま、武者などの人形や、フクロウと漢字をモチーフにした「寿福老」シリーズは、伝統的な普遍性を感じさせつつも、全く新しいものとして存在しています。

本展では、上出と上出長右衛門窯がこれまで取り組んできた「笛吹」シリーズに代表される伝統柄に遊び心を加えリアレンジした製品や、窯の定番品、新作の数々を展示販売いたします。そして上出の夢に出て来た犬の向付(浅い皿)や野生の熊への興味など、その独特な着想にもご注目頂ければと思います。

上出⻑右衛門窯「KUTANI CONNEXION」

会期:2018 年 10 月 5 日(金)−14 日(日) 11:00-20:00 ※最終日 11:00-17:00
会場:渋谷ヒカリエ 8/ CUBE1,2,3
〒150-8510 東京都渋谷区渋谷 2-21-1 渋谷ヒカリエ 8F
上出惠悟在廊日:5日、7日、13日、14日の13時〜18時 ※予定は変更になる場合があります。
主催・企画:Yoshimi Arts

★オープニング キャンディーレセプション
 10月5日(金) 17:00- 先着でオリジナル金太郎飴進呈!

http://www.hikarie8.com/cube/2018/09/kutani-connexion.shtml

「上出長右衛門窯 上出惠悟展」(岡山)

Filed under: 上出惠悟,個展,出店・出品 — @ 2017年7月5日

岡山高島屋DM 明治十二年に創業した九谷焼窯元 上出長右衛門窯の技術と、窯に生まれた六代目として窯を索引する上出惠悟の感性に触れられる作品を展覧いたします。

「上出長右衛門窯 上出惠悟展」

7月5日(水)-11日(火)
10:00-19:00
*金・土  -20:00、
*最終日 -15:00
岡山髙島屋 7階 美術画廊
〒700-8520
岡山市北区本町6番40号
TEL(086) 232-1111

「Blue,White&Blue」(東京)

Filed under: 上出惠悟,個展,出店・出品 — @ 2016年10月6日

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「Blue,White,&Blue」

この度、六本木の東京ミッドタウンにある ISETAN SALONE(イセタンサローネ)にて、上出長右衛門窯 上出惠悟「Blue,White,&Blue」 を開催する運びとなりました。

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長右衛門窯のブルー

タイトルにもある「Blue&White」は、磁器の特徴的なブルーである染付(そめつけ)のことを言います。染付とは、白色の胎土で成形した素地の上に酸化コバルトを主とした絵具で模様を絵付し、その上に透明釉をかけて高温焼成した陶磁器です。約140年続く九谷焼の窯元である上出⻑右衛門窯は、この染付のブルーにこだわり長年研究を重ねて来ました。やや青みがかった白い素地に様々な図柄を描いた鮮やかな染付は、デザイナー、ハイメ・アジョンも心惹かれた上出長右衛門窯の大きな特徴を示すブルーです。

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大きなふくろうのオブジェ

本展では、染付による祥瑞という幾何学文様の大鉢、人気シリーズの笛吹の湯呑やお皿等の器類と、窯の六代目にあたる上出惠悟が描くフクロウと漢字の「寿」が同居した絵柄「寿福老(ことぶくろう)」の高さ約80cmもある大作オブジェなどを出品致します。かつては大型の壺など多く生産し輸出していた九谷業界も、需要のない現在では技術を持つロクロ師はおらず、幾度もの失敗を繰り返しながら約半年かけてようやく出来上がった寿福老の大作を、是非ご覧頂ければと存じます。

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染付の絵付ワークショップ

ISETAN SALONEの1階のプロモーションスペースにて、上記の作品や製品他、上出惠悟の代表作品「甘蕉」「栄螺」、そして「熊」 をテーマにした作品なども一部展示する予定です。さらにインターネット動画サイトなどでその製作風景が世界中にシェアされ話題を呼んだ上出長右衛門窯の主任絵付師と、上出惠悟が来場し、染付体験ができるワークショップを開催致します。

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上出長右衛門窯 (上出惠悟)「Blue,White,&Blue」

2016年10月19日(水)-25日(火)
11:00-21:00
ISETAN SALONE 1F プロモーションスペース
(東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン・ガレリア1F/2F、TEL 03-6434-7975)
ISETAN SALONE HP | http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/isetansalone/index.html
主催|ISETAN SALONE
協力|Yoshimi Arts

絵付ワークショップお申し込み

上出長右衛門窯の六代目にあたる上出惠悟が染付について、特にクローズアップする祥瑞についてお話し、主任絵付師の井上幸晴がYouTubeで58万回再生された「上出長右衛門窯の祥瑞画法」を生で実演。その後、湯呑もしくはお皿に自由に染付で絵付をしていただきます。描いた器は後程窯で焼きあげます。
染付について「聞く・見る・描く」と盛り沢山の内容のワークショップです。 

日時|10/22(土)・23(日) 各日①11:30-13:30/②16:00-18:00
会場|イセタンサローネ1F プロモーションスペース
定員|各回10名
参加費|8,000円(税別/材料費込)
内容|
[1]上出惠悟による染付(祥瑞)のお話
[2]絵付師 井上幸晴による染付演(祥瑞・笛吹)
[3]染付体験 ①湯呑(φ7×h8.2cm)/②平皿(φ15×h3cm)の2種類からお選びいただき、笛吹など自由に描いていただきます。 だみ(塗り)はその場で職人が行います。焼成後、12/14(水)より店頭にてお渡し。配送の場合は12/15(木)着より日付指定可
申し込み|イセタンサローネでお電話にて受付  TEL 03-6434-7975

金沢21世紀工芸祭「熊坐之器」(金沢)

Filed under: 上出惠悟 — @ 2016年8月21日

熊を食するという特別な一夜を金沢主計町・嗜季の料理長今井友和と共にくずし割烹というスタイルで「熊坐之器(ゆうざのき)」と題した夕食会を開催します。上出惠悟が今回の為に器を制作いたします。10名様限定ですのでお早目にお申込みください。

熊坐之器

金沢21世紀工芸祭」は工芸を軸に、街歩きを楽しみ、食を堪能するイベントで、工芸の街金沢が、総力を挙げて初開催する大型フェスティバル。メインイベントである「趣膳食彩(しゅぜんしょくさい)」は、金沢が誇る食文化と工芸の饗宴。金沢の街を深く知るディレクター陣が、工芸作家や料理、空間を独自の感性でコーディネート。この日のためだけに用意されたプレミアムな世界観を五感で味わう、一期一会の総合芸術。

金沢21世紀工芸祭

 

金沢21世紀工芸祭・趣膳食彩「熊坐之器」

日時 2016.10/14 19:00~22:00
場所 嗜季Shiki 石川県金沢市主計町2-10
ご予約はこちらから
http://21c-kogei.jp/program/1640/

上出惠悟個展「熊居樹孔」(大阪)

Filed under: 上出惠悟,個展 — @ 2016年6月7日

名古屋から東京を経由した上出惠悟による熊への考察が大阪Yoshimi Artsに巡回します。また同時に梅田蔦屋書店でフェアを開催し、熊に関する作品や上出が選んだ書籍等の販売も行います。どうぞ併せてご覧くださいませ。

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上出惠悟 上出長右衛門窯 「熊居樹孔」

2016年6月18日(土)-7月10日(日) →16日(土) ※会期延長になりました
11:00-19:00 火・水休
Yoshimi Arts
オープニングレセプション | 6月18日(土) 18:00-

上出長右衛門窯 上出惠悟 「Bears Live In The Hollow」フェア

2016年6月18日(土)-7月10日(日)
7:00-23:00
梅田蔦屋書店 (北カウンター前 マガジンストリート平台)
熊に関する作品、トートバッグ・バッジ・手鏡などを展示します。

Yoshimi Arts 上出惠悟「熊居樹孔」ページ
梅田蔦屋書店「Bears Live In The Hollow」ページ

熊について

古来、私達にとって最も大きくて恐ろしい獣である「熊」は同時に一番の獲物でもありました。本州、四国、九州(絶滅)にはツキノワグマ、北海道にはヒグマがそれぞれ分布しています。大陸と地続きだった時代に私たちは熊を追って日本にやって来たとも考えられています。古代より熊を追って来た私たちは熊の呼称も多く、東北のマタギはシシ、イタチ、イタズ、ナビレ、クロゲ、ヤマ ノオヤジと呼び、北海道のアイヌは熊を山の神を意味するキムンカムイと呼びました。各地域に多くの伝承や物語があり、命を奪えば丁重に祈り深く感謝をしました。このような熊への崇重は北方 ユーラシアから北アメリカまで広範囲に見られます。インディアンはシャーマニズムと強く結びつけ熊は彼らの病気を癒すとも信じられました。現在では遺伝子上人間に近い動物は猿だと明らかに されていますが、猿のいない北半球では二本足で立ち人間に匹敵する大きさの熊を自分達に近い存在と信じ「親父」、「叔父さん」、「従兄弟」、「酋長の息子」、「毛皮をまとった父」などと呼 びました。このように私達人間は熊を追い彼らの命を奪いながら、一方で神として畏れ崇めて来ました。しかしこれらは全て人間の片思いのようなもので、本来熊には何の関係もないことかも知れ ません。現在熊は絶滅の危機に瀕し、里に降りてくる熊は人を襲ったり田畑を荒らす「有害動物」として捕獲され命を奪われています。

昨年私は熊をテーマに個展を開きました。するとなぜ熊なのかと度々皆さんに訊かれますので、ここにその理由を記したいと思います。私は昨年から突如として熊のことが気にかかり彼らのことを 頻繁に考えるようになりました。しかし思い出してみますと私が熊に興味をもった発端は、たまたま「子路(しろ)」という熊の異称を知った時のことだったように思われます。陶淵明による六朝時代の志怪小説集「捜神後記(続捜神記)」の中に、「熊無穴有居大樹孔中者 東土呼熊子路」という記述があり、また江戸時代の獣肉屋でも子路と書いて「くま」と読ませていたことを知りまし た(寺門静軒著「江戸繁盛記」)。論語に詳しい方はご存知と思いますが、子路とは孔門十哲の一人仲由のことで、子路という異称の由来は、熊が住処とした樹の「孔」と孔子の「孔」をもじった 言葉遊びからの洒落です。子路のことなら中島敦の小説「弟子」(昭和十八年発表)で主人公として描かれており、私はこの小説を幾度と読み感動しています。子路は子供がそのまま大人になった 様な直情径行な性格から度々孔子に叱られます。激越でしかし素直な子路はまこと獣のように美しく、これを読むと熊と子路を結びつけた人の気持ちが腹に落ちるように理解できます。物語の最後、子路は主君を救う為に反逆者のいる広庭へと単身跳び込み、気高くも無残に殺されてしまいます。孔門の後輩、子羔と共にその場から遁れることも出来た子路が子羔に声を荒げた「何の為に難を 避ける?」という言葉が私の心の中で何度も反復されました。「何の為に難を避ける?」。里に現れる熊は一体どのような気持ちで里に降りて行くのだろう。私の中でその熊と子路の姿が妙に重な り始めました。日常生活でも植木を熊と見間違えたり、車のヘッドライトの影に熊を見たり、空に浮かぶ雲を見て熊を思ったり、実際に会えないかと山へ行ってみたり、北海道を旅したりと熊の痕 跡をっています。結局のところ私はなぜ熊なのかと自分でも判らないまま熊を心に宿してしまったのです。

上出惠悟 平成二十八年三月二日 渋谷のホテルにて

参考文献
「中島敦全集 第一巻」中島敦/筑摩書房
「江戸繁盛記」寺門静軒/東洋文庫
「熊 人類との「共存」の歴史」ベルント・ブルンナー/白水社
「ものと人類の文化史 熊」赤羽正春/法政大学出版局
「クマとアメリカ・インディアンの暮らし」デイヴィット・ロックウェル/どうぶつ社
「クマを追う」米田一彦/どうぶつ社

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