この度、Yoshimi Artsでは、上出惠悟の個展「游谷」(ゆうこく) を開催致します。
日本の伝統工芸は様々な問題を抱えています。生活スタイルの変容、工業製品の台頭などによる需要の低迷に伴った職人の減少は、道具や原料を作る業者にまで及び、今や伝統工芸は産業として衰退の一路を辿っていると言わざるを得ません。石川の伝統工芸である九谷焼においても、例外ではありません。 九谷焼の窯元で130年の歴史がある上出長右衛門窯の六代目に当たる上出惠悟は、九谷焼の中でも少なくなっている磁器の生成、手仕事による絵付を一貫して制作する上出長右衛門窯の商品企画をし、世界的なデザイナーであるハイメ・アジョンとのコレボレーションを丸若屋と共に実現し、東京芸術大学の卒展で発表した磁器で制作された甘蕉から始まる上出惠悟としての作品を発表するなど、多領域にわたり活動してきました。
上出惠悟は、その九谷焼に纏わるものを俯瞰的に捉え、今まで継承されてきた九谷焼の歴史の重みを脇に置き、形骸化を解き、加賀という豊かな地で育まれた九谷焼を、もう一度豊かで新鮮に感じることを再現しようと試みています。九谷焼は伝統的なものとして世代的に広く共有され、その形状や紋様はごく当たり前に流通していますが、現代のネットワーク的な視点から見ると、改めてその面白さ・愉しさを読み解くことができることを、上出惠悟の作品は示しています。それは、工芸の現代化という折衷的な作品ではなく、生活に芸術を取り込んできた豊かな日本人の伝統をそのまま継承していると言えるでしょう。
上出惠悟は、Yoshimi Artsにて2011年に個展『幽谷』(isolated)を発表し、「髑髏 お菓子壷 花詰」や「甘蕉」などの九谷焼(磁器)による作品を展示し、九谷焼のルーツから現在の自身へと続く世界を表現しました。今展は『游谷』(Floating)と題し、前回の個展『幽谷』を開催した際に割ってインスタレーションとして展示した「大皿 花詰」が金継により新しく蘇って再び展示されるなど、前回とは違う眺めの『ゆうこく』が浮かび上がることと思います。
是非ご高覧下さいます様お願い申し上げます。 (Yoshimi Arts ホームページより)
上出惠悟 「遊谷/Floating」
2013年4月8日(月)ー28日(日)
11:00-19:00 会期中無休
作家在廊日:4月8日(月)
オープニングパーティー:4月8日(月)18:00-
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