「KUTANI CONNEXION」(東京)

Filed under: KUTANI CONNEXION,上出惠悟,出店・出品 — @ 2015年2月22日

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この度、渋谷ヒカリエ 8 階の 8/ CUBE1,2,3 にて、上出長右衛門窯「九谷焼コネクション」を開催致します。

石川の地で135 年余の歴史を持つ上出長右衛門窯は、卓越した技術を有する職人の手による磁器の生成から絵付までを一貫して制作する九谷焼の窯元です。六代目にあたる上出惠悟は、これからの窯の在り方を模索しながら、受け継がれた伝統的な作品を踏襲するだけでなく、現代だからこそ出来る試みを重ね、私たちに新鮮な九谷焼との出会いを提供しています。昨年は九谷焼の原点に立ち戻った薪窯での焼造や、今年2月にはパリで個展を開催し、その技術とデザインはフランスでも賞賛されました。

本展では上出惠悟が携わる上出長右衛門窯の様々な活動と、作家としての自身の作品をセクショ ン毎に解り易く配置し、上出長右衛門窯の全貌を理解出来る展示に致します。この展示は 2010 年に青山スパイラル(東京/青山) にて行われた「九谷焼コネクション」からアップデートされたもので、その後の上出長右衛門窯の取り組みを可視化するものとなるでしょう。

是非、この機会にご高覧下さいませ。

上出長右衛門窯 「九谷焼コネクション」

2015年3月4日(水)-15日(日)
11:00-20:00 (最終日 -18:00) 会期中無休
会場|渋谷ヒカリエ 8階 8/ CUBE1,2,3
東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8F
TEL 03-5468-5892 (渋谷ヒカリエインフォメーション)
http://www.hikarie8.com/cube/

企画・お問い合わせ Yoshimi Arts

上出長右衛門窯 
1789年、初代上出長右衛門によって石川県能美郡寺井村(現石川県能美市寺井町)に創業。以来135年、5代に亘り割烹食器の窯元として多くの日本料理店の為の器を製造する。職人による繊細な手仕事にこだわり、轆轤挽きの素地と深い発色の染付、そしてガラス質で色鮮やかな九谷の色絵を特徴とする。伝統的な仕事の中に現代性を感じさせるデザインを取り入れ、ハイメ・アジョンとの制作活動や、美術館やアートフェアでの発表等、近年活動の幅を広げている。

左|上出長右衛門窯+丸若屋 髑髏 お菓子壷 花詰 右|平角盒子 染付楼閣山水文

上出惠悟
1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。実家である九谷焼窯元・上出長右衛門窯でデザインや企画に従事する傍ら作家としても活動し、個展やアートフェアで「甘蕉」「鶏卵」「栄螺」などの作品を発表しています。

左|栄螺 硯海の貝 右|甘蕉 色絵経文文

ハイメ・アジョン×上出長右衛門窯
スペインのハイメ・アジョンにデザインを依頼したシリーズ。丸若屋のプロデュースのもと、2010年『DESIGNTIDE TOKYO 2010』で発表。上出長右衛門窯の特徴のひとつである染付と、手描きのポテンシャルを最大限に活かした製品は、新しい時代の伝統工芸とデザイナーの形として話題をさらいました。2012年にはフォルムを際立たせたシリーズ「FORMA CHOEMON」をミラノサローネ『SPAZIO HAYON』で発表。外部にデザインを依頼した初めての製品として窯の歴史に刻まれたシリーズ。

醤油さし(受皿付) 鳥型 花

「新世代クリエーターの仕事展」(東京)

Filed under: 上出惠悟,出店・出品 — @ 2014年8月27日

にっぽんフォルム

 

にっぽんフォルムで1981年生まれの三人のクリエイターによるグループ展に参加させて頂きます。セミナー(トークイベント)も企画されております。是非ともご覧下さい。

日本の生活デザインの黎明期に活躍したデザイナーは1910年代生まれが中心でした。今、終戦から70年を目前にして80年代生まれのデザイナーの活躍が目を引くようになりました。世代的には、バブル期終焉後に青年期を過ごし、「失われた10年」を目の当たりにしたロストジェネレーションと呼ばれていますが、彼らのクリエイティブにそんな括りは通用しません。例えば、フットワークも軽快に国内外を問わずデザインの現場とものづくりの現場を行き来したり、自由な発想と柔軟な思考で様々なジャンルとの交流を厭わず、伝統にもモダンにも同じ視線で飛び込んでいける―ものごとを素直に受け容れて、自らの感性でしなやかに発信する、超自然体といった印象です。

にっぽんフォルムホームページより抜粋〉

新世代クリエーターの仕事展 ~1981年生まれの必然的出会い~

小林幹也 河東梨香 上出惠悟

2014年9月4日(木)~11月4日(火) 
リビングデザインセンターOZONE 5F にっぽんフォルム
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー
TEL:03-5322-6500(代) 10:30~19:00/水曜日休館(祝日除く)

セミナー「1981年生まれの3人のクリエーターの仕事術」
2014年9/12 (金) 18:00~19:15 / 19:15~交流会
会場:5F ショールーム内 定員:50人
詳細はこちらをご覧下さい。

「美の予感 2014 ーMetamorphoseー」(巡回)

Filed under: 上出惠悟,出店・出品 — @ 2014年8月25日

美の予感

9月から11月にかけて上出惠悟が、高島屋美術画廊のグループ展に参加させて頂きます。本展は以下の5都市を巡回しますので、お近くの方は是非お越し下さい。

「美の予感 2014」図録より抜粋

このたび高島屋では「美の予感 2014 ーMetamorphoseー」を開催いたします。
今展は21世紀の工芸を展望するシリーズ第3弾の展覧会です。
日本の工芸は歴史と私たちの生活の中で独自の変化を遂げてきました。特に近年は国際化や日本の工芸の世界的評価の高まり、同時代のアートとの接近など、工芸という分野は従来の領域を超えて劇的に変化し続けております。
今展で紹介する9人は豊かな感性と高度な技術を武器に、日本の歴史的背景や、素材そのものをひとつのコンセプトにユニークかつ斬新な表現をしている気鋭の若手作家たちです。具象性や概念性の強いそれらの作品群は、現代という時代性を象徴するとともに、歴史の流れの中で必然的に生まれてきた工芸の新たな形のひとつといえるのではないでしょうか。陶、硝子、漆などの素材による若手作家の競演と、工芸の今を何卒ご高覧くださいますようご案内申し上げます。
2014年 高島屋美術部

「美の予感 2014 ーMetamorphoseー」

小田橋 昌代 上出 惠悟 小曽川 瑠那 佐藤  新宮 さやか 高木 基栄 増田敏也 増村 真実子 桝本 佳子

京都展 2o14年9月3日ー9日 高島屋京都店6階美術画廊
大阪展 2o14年9月24日ー30日 高島屋大阪店6階美術画廊
名古屋展 2o14年10月15日ー21日 ジェイアール名古屋タカシマヤ10階美術画廊
新宿展 2o14年10月28日ー11月3日 高島屋新宿店10階美術画廊
日本橋展 2o14年11月12日ー18日 高島屋日本橋店6階美術画廊

出品作家による作品解説 11月15日 午後2時より 高島屋日本橋店6階美術画廊
各会場ともに最終日は午後4時閉場

「KUTANI CONNEXION」(大阪)

Filed under: KUTANI CONNEXION,上出惠悟,個展 — @ 2014年5月15日

阪急うめだ本店9階アートステージにて、今年も「九谷焼コネクション」を開催させて頂くことになりました。

今年135周年を迎えた九谷焼の窯元・上出⻑右衛門窯。その六代目に当たる上出惠悟は、東京芸術大学在学中に発表したバナナを象った磁器作品や、情趣に富んだ個展を定期的に発表しています。一方、窯元の後継者として、受け継がれた伝統的な作品を踏襲するだけでなく、世界的なデザイナーであるハイメ・ アジョンとのコラボレーションを丸若屋と共に実現したり、クタニシールという転写ブランドを立ち上げたり、伝統工芸とアート、デザイン、様々な領域を跨いで活動して来ました。

上出の仕事はそれぞれ取り組む立ち位置の違いから、その手法と趣向が異なる為、一同に展示される事はありませんでしたが、本展「九谷焼コネクション」は上出が携わる作品、ブランドをセクション毎に分け、その全貌を展示する機会として、2010 年に初めてスパイラル・ガーデン(東京/⻘山)において開催されました。

上出はここで、九谷焼を俯瞰的に捉え、今まで継承されてきた九谷焼の歴史の重みを脇に置き、形骸化を解き、もう一度豊かで新鮮に感じることを再現しようと試みています。 それぞれのブランドの人気製品や新作、更に創業当時の名品(明治中期頃の作)も出品致します。是非、この機会にご高覧下さいませ。

トークイベント

丸若裕俊 × 上出惠悟

「九谷焼コネクションについて」〜ハイメ・アジョンからクタニシールまで〜

6月3日(火) 14:00-/無料 会場:阪急うめだ本店9階 アートステージ

丸若 裕俊/マルワカヒロトシ

1979年東京生まれ・シツラエルヒト。2010年、株式会社 丸若屋を設立。「時代に従うモノづくりではなく、時代を創造するモノづくり」をテーマにプロダクト・プロデュース、プロジェクト・プランニングを日本最高峰に特化した、伝統工芸から最先端工業技術との取り組みまで を行う。

ギャラリートーク

上出惠悟と稲葉征夫(Yoshimi Arts 代表)

6月9日(月) 15:00-/無料 会場:阪急うめだ本店9階 アートステージ

創業135周年 上出長右衛門窯 「九谷焼コネクション」

2014年6月3日(火)-10日(火)
10:00-20:00 (金・土 -21:00、最終日 -18:00)
阪急うめだ本店 9階 アートステージ
大阪府大阪市北区角田町8番7号 TEL.06-6361-1381(代表)

企画:Yoshimi Arts 大阪府大阪市⻄区江戶堀1-8-24 若狭ビル 3F TEL.06-6443-0080 E-MAIL info@yoshimiarts.com http://www.yoshimiarts.com

「九谷 我谷」(京都)

Filed under: 上出惠悟,個展,出店・出品 — @ 2014年3月26日

上出惠悟が出品する展示のご案内です。

石川県の山中温泉より大聖寺川に沿って上流へ車を走らせると、我谷ダムが見えてくる。冨士写ヶ岳の麓にある小さなダムだ。更に上流へ進むと今度は九谷ダムが広がっている。本展はこの二つのダム建設によって水没した集落、我谷村と九谷村にそれぞれ伝えられた稀代なる工藝品、我谷盆と九谷焼に魅せられた二人の作家による器と盆を超えた相互の取組みである。

【我谷盆】生活道具として作られた木の盆といえば平凡であるが、この盆の並ならぬのは堅い栗の丸太をくり出し、のみ跡を残す美しいその彫刻性。

【九谷焼】大聖寺藩の官窯であったが僅か五十年で忽然と消えた色絵磁器。謎めく歴史も然ることながら、圧倒されるはその鮮色さと大胆なる絵画性

◎本展示会は、昨年金沢で開催された「九谷 我谷(G-WING’Sギャラリー)」をもとに新作を加え新たに構成したものです。互いの枠を超えようと模索する両者の取組みにご期待ください。

「九谷 我谷」 森口信一・上出惠悟

現代美術 艸居
2014年4月5日(土)-20日(日)

オープニングレセプション:4月5日 17時-19時

〒605-0089 京都市東山区元町381-2(大和大路通から古門前通を東に入り5件目です)
TEL: 075-746-4456
10:00 – 18:30(会期中無休)

テレビ出演「石川人~石川の心を繋ぐ三人のストーリー~」(石川)

Filed under: お知らせ,パブリシティ,上出惠悟 — @ 2014年3月17日

上出惠悟テレビ出演のお知らせです。

石川県内のみの放送ですが、下記のテレビ番組に出演します。大阪での催事やクタニシール・ワークショップ、個展「硯海の貝」、窯での風景や職人へのインタビュー等撮影して頂きました。 よろしければご覧ください。

MRO新幹線カウントダウンSP
「石川人 石川の心を繋ぐ三人のストーリー」

3/19(水)20:00〜20:54

MRO北陸放送

故郷への熱い想いを胸に秘め、石川の心を繋ぐ
東京や全国区で活躍する三人の石川人(いしかわびと)に密着。
九谷焼に新たな命を吹き込む、九谷焼・上出長右衛門窯六代目の上出惠悟さん。
東京で能登の食材をふんだんに使ったフレンチビストロ「ビストロマルゼン」を開いているオーナーシェフの岩田朱理さん。
お店や商品ロゴの筆文字デザインから個展などを行い、独創的な文字が人気の書家・国分佳代さん
三人を追うことで見えてくる今を生きる石川人の故郷への想いとは、、、

上出惠悟個展「硯海の貝」(大阪)

Filed under: 上出惠悟,個展 — @ 2014年2月10日

大阪Yoshimi Artsさんで上出惠悟の個展が開催中です。

本展は昨年行われた東京馬喰町αMでの個展「楽園創造」を関西の皆様にもご覧頂く機会となりますが、新作を加え新たに展示台を新調し一つの個展として再構築したものです。九谷焼、そして磁器の歴史を越えて、私達が生きる時間について語りかける作品にどうぞご期待ください。

 

“硯(すずり)の海に棲む小さな貝は
潮流にさらわれまいと棘を成し古人の余沢に浴するのである”

αM(東京)での個展「楽園創造」の出品作「硯海の貝」に添えた短い文章です。この展覧会で私は東洋から続く磁器の歴史を舞台に、その美しさについて考えました。 磁器という素材は千年先も色褪せぬ強さを持っています。磁器が纏っている時間はまるで仙境のように私達のものとは異なるのです。人の手を通して生まれた形が、そして絵が、火の力を借りて世界に存在し続ける。だから美しく感じるのだと思います。
時間はきっと音も立てずに私達の周りを吹き荒れていて、磁器はいつでも私達を置いてきぼりにするのです。

上出惠悟

   

この度、Yoshimi Artsは、上出惠悟の個展「硯海の貝」(けんかいのかい)を開催致します。

上出惠悟は、九谷焼窯元である上出長右衛門窯の六代目にあたります。窯のディレクションを担い、また、上出惠悟としての作品を発表してきました。

九谷焼の発祥の地、九谷村(現在の石川県加賀市山中温泉九谷町)に足を運び、九谷焼を生み出した先人達に想いを馳せた個展「幽谷」(2011)、次に、先人達が感じていた未来を共有しようとした個展「游谷」(2013)、という二つの「ゆうこく」という世界をYoshimi Artsで見せた上出惠悟は、中井康之氏(国立国際美術館主任研究員)のキュレーションによる、2013年のギャラリーαM(東京)のプロジェクト「楽園創造(パラダイス)-日常と芸術の新地平」において、個展を発表。その展覧会で、他の作品とは離れた位置に作品「栄螺 硯海の貝」が展示されました。今回は、作家の自画像とも言えるこの作品を中心に個展を行います。

是非、ご高覧下さいます様お願い申し上げます。

画像:上出惠悟 「栄螺 硯海の貝」 磁器、墨汁
「楽園創造(パラダイス)-日常と芸術の新地平 vol.3 上出惠悟」ギャラリーαM 展示風景より 2013
撮影:上出惠悟

硯海の貝/上出惠悟

2014年1月31日(金)-2月23日(日)
11:00-19:00 会期中無休
Yoshimi Arts

「伝統を更新する『承』」(東京)

Filed under: 上出惠悟,出店・出品 — @ 2013年11月25日
上出惠悟が銀座・和光の本館6階和光ホールにて開催される『伝統を更新する「承」』に参加します。
暮らしに取り入れたい、きらりと感性が光るアートと工芸
確かな技を持ち、それぞれの分野で未来を担う作り手として、常に時代の先を見据え、新たな試みに挑戦しているアルチザンやアーティストをご紹介いたします。伝統技法を用いながらも、枠にはまらず自由な感性でユニークな作品を生み出す作家、日本古来の技術を守りながらも、モダンに表現される作品の数々。彼らの生み出す作品には、溢れるパワーがあります。伝統を受け継ぎながらも、更新していく「心と技」を、日常の中で身近に感じていただける、よい機会になることでしょう。次々と新たな作品を生み出していく作り手たちのパワーを、ぜひ会場で感じてください。

出展者:上出惠悟 http://www.choemon.com/深堀隆介 http://goldfishing.info/福井利佐 http://risafukui.jp/興石 http://kohseki.com/博古堂 http://www.kamakurabori.org/染司よしおか http://www.sachio-yoshioka.com/

伝統を更新する「承」

会期:2013年12月6日(金)~12月15日(日)
時間:10:30~19:30※13日(金)、14日(土)は20:00まで、最終日15日(日)は17:00まで
会場:銀座・和光 本館6階 和光ホール
住所:東京都中央区銀座4丁目5-11TEL:03-3562-2111(代)
主催:和光 http://www.wako.co.jp/

「九谷 我谷」(石川)

Filed under: 上出惠悟,個展,出店・出品 — @

上出惠悟が出品する展示のご案内です。

石川県の山中温泉より大聖寺川に沿って上流へ車を走らせると、我谷ダムが見えてくる。冨士写ヶ岳の麓にある小さなダムだ。更に上流へ進むと今度は九谷ダムが広がっている。本展はこの二つのダム建設によって水没した集落、我谷村と九谷村にそれぞれ伝えられた稀代なる工藝品、我谷盆と九谷焼に魅せられた二人の作家による器と盆を超えた相互の取組みである。

【我谷盆】生活道具として作られた木の盆といえば平凡であるが、この盆の並ならぬのは堅い栗の丸太をくり出し、のみ跡を残す美しいその彫刻性。

【九谷焼】大聖寺藩の官窯であったが僅か五十年で忽然と消えた色絵磁器。謎めく歴史も然ることながら、圧倒されるはその鮮色さと大胆なる絵画性

「九谷 我谷」 森口信一・上出惠悟

G-WING’S ギャラリー
2013年12月10日(火)-20日(金)

〒920-0011 石川県金沢市松寺町子24-1
TEL : 076-238-0771
10:00〜17:00(会期中無休)

上出惠悟個展「楽園創造―芸術と日常の新地平―」(東京)

Filed under: 上出惠悟,個展 — @ 2013年7月9日

中井康之氏のキュレーションによりギャラリーαM にて上出惠悟の個展を開催させて頂きます。

●日常の中に「理想郷」を求めて

中井康之

われわれが生活する東洋に於いて、「楽園(パラダイス)」に相当する場所(トポス)を表す対象は容易には見出し難いかもしれない。われわれが思い描く「楽園」の多くは西洋起源であり、おそらくは旧約聖書の「創世記」第2章に描かれた「エデン」の地が原型となっていると考えられるだろう。

 主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。
また一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、そこから分れて四つの川となった。その第一の名はピソンといい、金のあるハビラの全地をめぐるもので、その地の金は良く、またそこはブドラクと、しまめのうとを産した。

(『創世記[口語]』日本聖書協会、第2章 2:8-12)

このような天上的な力による、さらには豊穣なイメージによる「楽園」ではなく、われわれ東アジアの多くの者が「理想郷」と解釈する対象は、中国、六朝時代の詩人、陶淵明の「桃花源記」に描かれた、桃花の林の奥深くに迷い込んだ漁民が見つけた「桃源郷」に住まう人々の平穏な暮らしぶりではないだろうか。

土地は平らかにして曠(ひろ)く、屋舎(おくしゃ)は儼然(げんぜん)として、良田(りょうでん)美池(びち)、桑竹(そうちく)の属(たぐ)いあり。阡陌(せんぱく)交(まじ)わり通(つう)じ、鶏犬(けいけん)のこえ相(あ)い聞(き)こゆ。

(陶淵明『桃花源記』注者一海知義)

 

今回登場する上出惠悟は、来年で135年を迎えるという九谷焼の窯元・上出長右衛門窯の六代目である。そのような場所に生まれた多くの者がとる行動は、その伝統や因襲といった有形無形の遺産と距離を持つことであり、彼も美術の基礎を東京藝術大学の油画科という場所で学ぶという行動をとっている。その場所で何らかの批判的精神を醸成した上で窯に戻ったのであろう。とはいえ、新たな世紀へと移り変わった時代に、芸術という世界に関わることになった者にとって、第二次大戦後直ぐに起こった『走泥社』のような前衛陶芸の様に陶芸から実用的要素を剥ぎ取り純粋造形として自立していくような道程とも等しく距離を取ることになることもまた当然であった。そのような前衛運動は、カントの批判哲学に端を発する自己批判的な精神によって培われたものであり、そのスタイルとしては、自らを自己規定するメディウムを「純粋」化する方向性へ突進していった「モダニズム」を背景としていることは言を俟たない。その「モダニズム」の源泉を、冒頭に掲げた「旧約聖書」の『創世記』からもはっきりと見とることができるだろう。その「エデン」という「楽園」は、文字通り「見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせた」のである。このような純粋思考は、後に、トマス・モアの『ユートピア』という名の「ディストピア」を生み出すことになる。
そのような「楽園」が、われわれ東アジアの文化圏で生を営む者にとって快楽的な共感を呼び起こす部分は少ない。対蹠的な世界として、やはり冒頭に掲げた「桃源郷」は、しかしながら、この島国に住む人々にとっては隔靴掻痒の感を抱かせるところがある。その山間に拡がる田園風景は、記憶の中の懐かしい風景のようではあるのだが、それでも1600年程過去の武陵(現、中国湖南省)という異国の説話であることが、もどかしさを感じさせるのだろう。それに相似する世界観を持つ日本の美術作品として、久隅守景の《夕顔棚納涼図屏風》を例示するのは無謀であろうか。その画を知る者は多いと思う。農民夫婦とその幼子が、粗末な小屋の傍らに設けた夕顔棚の下で涼みながら月を眺めているというシンプルな作品である。この作品は、戦後の昭和27年に長谷川等伯の《松林図屏風》と共に国宝に指定された作品としても知られている。当時の選者たちもこの作品を、この国の「理想郷」を表していると想定したのだろう。
上出惠悟の作品は、彼の出自である九谷焼を用いている。その元祖となる古九谷の絵付けを、当時(江戸末期)加賀藩に滞在していた久隅守景が指導をしていたという定説があるがここでそのことを取り上げようというのではない。その古九谷が築き上げようとしたのは、唐代に生み出された白磁に五彩の絵付の景徳鎮であった。上出が自らの作品で実現しようとしているのは、そのような連綿たる時を重ねてきた磁器の世界を舞台とし、その中の伝統的な様式を緩やかに遊ばせながら、われわれ日本人の秘かなる風景を映し出そうというのである。その軽妙で諧謔的ともいえる作品群は、江戸末期の絵師が残した庶民図と同様に、この国の何とも言えない日常の中の「理想郷」を垣間見せる。その作品群が生み出す「場」(トポス)を上出は「幽谷」あるいは「游谷」等々と名付け、見る者を悠久の世界へと誘うのである。

 

キュレーター

●中井康之 なかい やすゆき

国立国際美術館主任研究員
1959年東京生まれ。1990年京都市立芸術大学大学院修士課程修了後、西宮市大谷記念美術館に学芸員として勤務。1999年より現職。専門は近現代美術。主な展覧会として「パンリアル創世紀展」(1998年)、「イタリア抽象絵画の巨匠:アフロ ブッリ フォンタナ」展(2002年)、「もの派-再考」(2005年)、「藤本由紀夫展 +/-」(2007年)、「アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―」(2008年)、「世界制作の方法」(2011年)等。また、2005年に「第11回インド・トリエンナーレ」、「シティーネット アジア2005」(ソウル市立美術館)で日本側コミッショナーを務める。

上出惠悟x中井康之トーク

上出惠悟が語る九谷焼と自作について

楽園創造(パラダイス)―芸術と日常の新地平― vol.3 上出惠悟

2013年7月13日(土)~8月24日(土)
夏休み8/11~8/19
11:00~19:00
日月祝休 入場無料

●アーティストトーク 上出x中井
7月13日(土) 18時~
Ust→ustre.am/110Z1
●オープニングパーティー
7月13日(土) 19時~

ギャラリーαM  (アルファエム)
東京都千代田区東神田1-2-11アガタ竹澤ビルB1F
T 03 5829 9109  F 03 5829 9166  alpham@musabi.ac.jp
www.musabi.ac.jp/gallery

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